「豊かな森を目指して」
 まず口キシーヒルの名前から紹介します。
「ロキシー」とはネパール語で「焼酎」の事です。「ヒル」は英語で「丘」ですから、「焼酎の丘」になります。ですからここは焼酎を酌み交わしながらの人間交流の場になっています。
 ロキシーヒルの会がこの山小屋を中心に私の所有地(山林)15haで豊かな森づくりを実践して9年になります。
 私は長く農業を続けていましたが、材価低迷で人の手が入らず、荒廃の一途をたどる森林の惨状を心配しておりました。そんな時、ジャン・ジオノ著「木を植えた男」(あすなろ書房)という絵本に出会いました。羊飼いの男ブフィエが荒れ果てた大地に1人で黙々とカシの実など何十年も植え続け、荒野はやがて緑豊かな森に変わり、そこを離れていた住民の子孫が次第に戻って来ると言うストーリーです。
 私はこの本に衝撃的な感動を覚えました。そこで、1998年9月森づくりに着手しました。私の考えに共鳴する個性的なスタッフは当初10名ほどでしたが、現在150名ほどの会員になっております。スタッフはその個性や特性に応じて植林担当、炭焼担当、広報担当、森の教育担当、文化担当等々たくさんの方がその部署を守っています。  また口キシーヒルの会では「憲法」を制定し森づくりの理念をはっきり打出しました。そこには「まず木を植えよう。木を植えたら手入れしよう。山桜が咲いたら花を見て楽しもう。雑木が増えて木の実が出来て小鳥や獣が増えたら、子供達と楽しもう。そういう自然を自分たちの手で取り戻そう」とあります。


目指すはスギと広葉樹の混交林
 豊かな森とは、いつまでも収入と楽しみを生み続け、動物にも植物にも素靖らしい環境を与え続けるような森です。ロキシーヒルは当時15haの杉・ヒノキの人工林がありましたが、それを3割ほど残して7割の跡地に山桜・イチイガシ・ケアキ,ヤブツバキ・アラカシ・モミジ・イチョウ等の照葉柳や広葉樹を植え続けています。目ざすは生態系的にも好ましい広葉樹とスギの混交林です。
 この9年間毎年植樹祭と育樹祭を行って来ました。一部補植を残して植え付けは本年で終了しますので、本年からは会費の徴収は致しません。本年からの会費は、今まで植えたエリアの下草刈りをするために流れる汗を会費とすることになります。親子で、友人達とエリアを決めて手入れに来て下さい。  
 誰もが利用できる環境教育のフィールドとして活用し、親子のきずなを深めてほしい。子供達は、自然が生み出す不思議さや神秘的な出来事を五感を持って感じ取る能力を取り戻させようという試みです。レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」に、知ることは感じることの半分も重要でない」と書かれています。ここで、生き物としての感性を呼び起こす経験を培ってほしいと考えています。


これからの森の活用について
 「いのちを守るドングリの森」宮脇昭著を読むと、「今最も重要なことは、豊かな生物多様性を維持する土地本来の森をつくることである。その土地の環境を保全し防災機能、水源涵養、水質浄化など、多様な機能が高い。また、森が失われている都会に暮らす人々にとって、自然と接することのできる憩いの場、癒しの場、緑の保養所の役目も果たす。また、緑のダムの機能も果たす」と書いてあります。私はこの本を読んでこの様な理念を持って森づくりを進めた方が効果的である様に思いました。
 口キシーヒルでは環境保全のための植樹・育樹に加え、中高生対象に自然に向き合うサバイバルキャンプや作業路を利用したマウンテンバイクレース大会も催し、多くの若者が参加しています。その際、参加者には「木を植えること」を義務づけています。そのほか、炭焼きや自然農法にも取り組んでおり、豊かな自然の力でできた良材等の活用などにも力を入れております。
 口キシーヒルの規約の目的の項に「新しい生き方の創造」とあります。20年後30年後を夢見て、これからも広葉樹を育て、森林文化の創出活動を続けていこうと思っています。

ロキシーヒルの会会長 図師哲雄

<2007年どんぐり通信No.8(どんぐり1000年の森をつくる会会報)掲載文より>

研修棟 五右衛門風呂 炭焼き窯
【ロキシーヒルの会】 
 ■発足年月日 1990年4月
 ■電話 0983-45-1541
 ■代表 図師哲雄
 ■会員数 正会員155名
 ■会費 汗(2007年度より既会員のみ)、新規会員は初年度費3000円
ロキシーヒルは様々な担当役員により運営されています。以下にその担当名をご紹介します。
顧問 会長(大酋長) 副会長理事(酋長) 理事(野草担当) 理事(植物園担当)
理事(企画担当) 理事(文化担当) 理事(登山担当) 理事(青少年担当) 理事(会計助成金担当)
理事(会計会費担当) 理事(書記担当) 理事(広報担当) 理事(渉外担当) 理事(植林担当)
理事(炭焼担当) 理事(子供育成担当) 理事(森の教育担当) 理事(技術担当) 理事(食料担当)
理事(美化担当) 理事(MTB担当) 理事(養魚担当)